「AI vs 教科書が読めない子どもたち」を読んだ感想のブログでもご紹介しましたが、最近ますます生徒たちの読解力への不安が増強しつつあります。
小学生~高校生まで、文章の要点が拾えない生徒がたくさんいるのです。もちろん国語が苦手な生徒です。小学校では算数、中高では英語・数学が最重要教科になってしまって、国語への関心は蔑ろになりがちでした。けれども、国語が出来ない=問題文がちゃんと読めない…なので、全ての教科に悪影響を及ぼしています。
なぜできない?「要約をしなさい」と言われているのに、ほとんど丸写ししかできない生徒、「大切な箇所に線を引いて」と言うとほぼ全部に傍線を引いてしまう生徒の存在が少なくありません。「どこが大切なのか分からない」と言うのです。
これはいったいどういうことか…というと頭の「選択透過性が働いていない」ということではないかと私は考えています。「選択透過性」というのは、もともとは生物の用語で、細胞膜が特定の物質をだけを通過させやすい性質を表す言葉です。ざっくり言うと、人体に必要な物質は通過させて、不要なもの、有害なものは遮断するという絶妙な働きです。
私の伯母が補聴器を付けたら「要らない音まで全部拾ってしまって、それが大きな音で聞こえるから不快だ」と言うのを聞いた時に「人間の感覚器官ってすごいな」と思いました。自分の聴きたい音だけ自然に拾って、他の不要なものはスルーできるんですね。眼も同じようなことをしていると思います。何人かで同じ場所に行っても、人によって見たもの(≒記憶に残っているもの)が違ったりしませんか?
文章を目でたどって、意味内容を認識にしつつ「拾うべき言葉」と「不要な言葉」の識別が瞬時に出来なければ、前述のように「どこが大切なのか分からない」ということになるのだろうと思います。この力が養われていない人が増えているということですね。
大切な言葉は、先ず名詞(主語)です。それから、動詞・形容詞・形容動詞(述語)です。それから、長文になると、接続詞が重要になります。これを意識するだけでかなり違ってきます。
神戸市灘区(六甲と六甲道の間)で、小学4年~高校3年の女子対象に個別指導を34年続けている
ATHENE(アテネ)の塾長 櫻井久仁子